半導体関連テープ

半導体ウエハ製造工程用テープには、切断(ダイシング:DC)用と研磨(バックグラインド:BG)用の2種類があります。テープはウエハに密着して回路面を異物から保護し、バックグラインド時やダイシング時の破損から守るという機能があります。特にUVテープは、強力な粘着力と、かつ紫外線を照射すると粘着力が急激に弱くなる性質を持った粘着テープです。紫外線をこのテープに照射すると、接着剤が硬化してテープとウエハが素早く安全に剥離できるという特長があります。その特徴により工程の自動化・品質の向上・コストダウンが可能となります。最近ではウエハの薄肉化などが進み、破損や反りを防止するための衝撃を吸収したり、薄肉化されたウエハを支持する機能なども求められるようになっています。


ダイシング(DC)テープ

ダイシングテープは、半導体・光学部品・電子部品製造のダイシング工程においてシリコンウェハを固定し切断・ピックアップする時に使用されます。シリコンウェハの生産量に影響を受けてダイシングテープも推移しています。チップの多様化、高品質化に伴い、ダイシングテープにも高い技術が求められます。UVタイプは、剥離時に紫外線を用いて粘着力を限りなくゼロに近づけることが出来る為、高い固定力と糊残りのない容易な剥離を実現させ、ピックアップ時に高い効果を発揮します。ダイシングテープを分類すると、感圧タイプ(弱粘着)とUVタイプに分けられます感圧タイプはウェハに貼り付け加熱後にも安定した粘着力が得られます。一方UVタイプはUV照射すると収縮する粘着剤を使用しており、ダイシングの際にICチップをピックアップしやすくしています。このようにICチップの保持性と剥離性という、相反する性能を満足させるという点から高コストではあるがUVタイプが主流になってきています。ベースフィルムには、PVC・ポリオレフィン(PE)・PET等の樹脂が採用されています。ベースフィルム用の接着剤にはアクリル樹脂系等の接着剤が使用されています。

UVタイプの特徴

UV照射前

高い粘着力

ウエハを精確かつ強力に固定し、チップ飛びを起こさない

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UV照射後

剥離の容易さ
チップにストレスを与えず、自動機械により容易にピックアップできること
不純物含有が無いこと
ピックアップ後のウエハ裏面に汚染物質が残らないこと
裏面チッピングやチップ飛びを低減


バックグラインド(BG)テープ

バックグラインドテープは、ウエハを固定し裏表面を研磨する時に使用されます。傷・割れ・汚染などから保護し、また衝撃を吸収し回路・ウェハの破損を防止して、研磨精度を向上させます。研磨する面と反対側のあらかじめ回路パターンが形成された回路面に貼りつけて使用し、その後再剥離の際にウエハ表面のIC特性・信頼性の劣化や歩留り低下の原因となる粘着剤や微粒子・塵埃を残さないというのが特徴です。機械による研削(バックグラインディング)と、薬品によるエッチングがあります。UVタイプは、照射によりテープ剥離時には大幅に粘着力が低下しますので、ウエハにストレスを与えず大口径・薄型ウエハの加工にも対応できます。薄型化してきているウエハをいかに無傷で次工程に受け渡し、かつチップ化・実装までのプロセスを簡略化するか、また粘着力と剥離性のバランスやテープの柔軟性などが重要と考えられています。半導体の高集積化・3次元実装が一般化し、ウエハの12インチ化・薄肉化の進展に伴いソリの問題やフィルム厚の均一化等により、バックグラインドテープに対する課題はさらに高くなってきています。基材フィルムにはEVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)の使用量が圧倒的に多く85%を占めています。EVA以外ではPET・PE等が用いられていますが、ウエハの薄型化に対応し耐熱性・強度を向上するためにこれらのフィルムを多層化する製品が開発されています。

UVタイプの特徴

UV照射前

密着性

ウエハ表面に密着し、研削屑などの侵入を防ぐ

衝撃吸収性

バックグラインディングの際の衝撃を吸収し、回路・ウエハの破損を防ぐ

耐酸性

エッチングで使用される薬剤から回路面を守る

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UV照射後

剥離の容易さ

ウエハにストレスを与えず、自動機械により容易に剥離できる

不純物含有が無いこと

テープ剥離後のウエハ表面に汚染物質が残らないこと